住宅の塗装工事がどのように進められるのかを工程順に説明するものです。ごく一般的な塗装工事を例にご説明申し上げます。3週間の工事でした。
「塗装工事前」
![○○○○○○○○イメージ](img/image75.jpg)
これまでにライフペイントが施工させていただいた住宅の中で、ごく一般的な工法を用いた塗装工事を
題材に説明させていただきます。塗装工事は簡単な工事だと見られがちな建設種目ですが、着工から竣
工まに行うべき必修工程は非常に多いものです。勿論の事、塗装工程には理由と根拠があり、無駄な
工程は一つもありません。確実な仕上がりと、その後の長期にわたる計画通りの耐久性能を得る為には
夫々の工程を確実に進めて行かなければなりません。
工事前の調査の結果、屋根、外壁ともに表面のチョーキング(長年の雨や紫外線の影響で表面の塗装塗
膜が粉状に劣化し、撥水性を失っている状態)が、かなり進んでおり、外壁のクラック(ひび割れ)が
小規模ながら発生していました。更に、サイデイングの目地に充填されたシーリングにも経年変化を原
因とする硬化収縮が見られ、外壁の合わせ目の所々に隙間を生じさせている事から、建物の内部に雨水
が浸入可能な状態であると判断しました。
当然ですが、一度建てた建物は、老朽化するものです。この老朽化からどのように建物を守り、維持し
ていくのか?を考え、実践するのが我々塗装業者の仕事です。適正な検査を経て状況を確実に把握し、
適切な計画を立てて行く、観察と検査の結果、仕様を決定する訳ですから、見積もり段階では既に工事
後の優劣を左右する段階に入っている事に成ります。一般の皆様にとっては、勿論、塗装工事の経験も
なく、例えば、見積書に記載した内容だけではよく分からない場合もお有りだろうと思います。どうか
遠慮なさらずに、何でも、何度でも、お問合せ下さい。お客様のご希望をなるべく多く工事に取り入れ
「なるほど!」とご納得の上で、工事に着手させて頂きたいと思います。
以下、開始から竣工までのプロセスをご説明申し上げます。建物の部位により使用された建築部材の性
質が異なりますので、夫々に適した塗料や塗装工程を決定するのは非常に重要です。
「塗装工事後」
![○○○○○○○○イメージ](img/20130130094400003112.jpg)
工事前後で様変わりした外観が確認できると思います。外部全体を塗装し色彩を変更したことで、住宅
はご覧の様に新鮮に生まれ変わります。人の目で捉えるのは表面であり、全ての表面を改修することで
、建物全体のイメージが更新されるからです。更に、塗装工事のメリットは、美観回復だけではありま
せん。重要なのは、素地の回復と保護です。これらは、下段に記載した多くのプロセスを経て完成させ
るものです。最近では、夏期の室内温度の上昇を抑える遮熱塗料や断熱塗料などの普及によって、塗装
工事をすることで、室内温度の上昇・下降を軽減させ、居住空間をより快適に お過ごしいただく為のお
手伝いができるようになりました。塗料の技術開発によるものですが、塗装工事の新たなメリットとし
て、お勧めしたい内容です 。
1・カラーの決定
お客様がお望みのイメージを絞り込んでいきます。
「カラーの決定の為に」
![○○○○○○○○イメージ](img/image18.jpg)
一般のお客様にとって、塗料メーカー発行のガタログに記載させた小さな色見本から希望色をお選びい
ただく事は難しい事だと思います。塗装後の10年前後の長い間のお付き合いとなる色ですから悩まれ
るのも当然です。是非、慎重にお選びいただきたいと思います。ライフペイントでは色彩選択のお手伝
いとして、工事開始決定後、お客様から数点お選びいただいた見本帳の色を、実際に外壁の一部に塗装
する事で大型見本を作成致します。お客様のイメージ 通りの色彩調整を行う為の工夫です。建物の形状
や近隣の環境に適したアドバイスをさせていただきながら、慎重に決めて行きましょう。
2・仮設足場
大切なのは、安全・低コスト・作業性です。
「仮設足場工事」
![○○○○○○○○イメージ](img/image20.jpg)
写真は組み立て中の足場を撮影したものです。足場は工事の開始から終了まで使うものですから、風や
地震に耐えられる頑丈な足場であり、落下事故が起こらない安全な足場でなければなりません。工事中
の安全確認は十分に、工事開始前、工事終了後の安全点検を含み、いつも十分に観察する必要があるも
のです。敷地内、建物廻りの余地、建物の高さ等により、使用すべき部材や掛け方を選択します。メッ
シュシートを表面に掛けて、塗料飛散が起こらぬように備えています。近くの駐車車両には専用シート
を掛けさせていただき、万一の塗料飛散と付着防止に備えます。
3・高圧洗浄
建物を傷めることなく汚れを洗い流す為には圧力の加減が大切です。
「建物全体の水洗いです」
![○○○○○○○○イメージ](img/image21.jpg)
素地を傷めずに、浮いた塗膜や埃、汚れを完全に除去する為には圧力加減が大切です、状況によって圧
力を加減しながら洗浄します。塗料の密着性を十分に確保する為の必修工程です。洗浄を怠った結果、
その後、塗膜の浮きが生じ、やがては剥がれてしまう等の不良工事に繋がる場合がありますので、十分
な水量と圧力を掛けて、注意深く丁寧に洗浄します。
4・養生
塗装部位に接した窓、ドア、床などを養生します。
「養生」
![○○○○○○○○イメージ](img/image22.jpg)
主に、塗装部位に接した無塗装部分(窓、ドア、床等)には、塗料の付着を防止する為にビニール等
を被せて養生します。暑い季節の窓の開け閉め、玄関の出入りなど、お客様の日常生活の邪魔にならな
いように工夫しながら行うものです。
5・シーリングの打替
雨水の浸入を遮断する為の大切な工程です。
「外壁目地シーリング現状」
![○○○○○○○○イメージ](img/image23.jpg)
外壁表面にサイデイングボードが施工されている場合、隣接するパネルとの間にはシーリングと呼ばれ
るシール材(防水効果のある充填剤)が打たれています。このシール材にはウレタン、シリコン、変成
シリコン等の色々な性質のものがあり、耐用年数にも差があります。いずれも経年変化により、硬化収
縮して行く性質のものです。写真の様に隣接するボードとの間に隙間が生じた場合には外壁全体の調査
を行うべきです。複数個所でこの隙間が確認される場合にはシール材の劣化が限度に達していると考え
るべきです。全体的なシーリング材の打ち替えを計画するにあたり、仮設足場が必要な場合が多いもの
ですから、一般的には外壁塗装の前工程で行う場合が殆どとなっています。
第1工程 「既存シールの撤去1」
![○○○○○○○○イメージ](img/image24.jpg)
サイデイングボードとの境界線ギリギリの所をカッターを用いて切断します。
第2工程 「既存シールの撤去2」
![○○○○○○○○イメージ](img/image26.jpg)
劣化したシール材を完全に撤去します。
第3工程 「プライマーの塗布」
![○○○○○○○○イメージ](img/image27.jpg)
劣化したシールの撤去後の溝(サイデイングの端面)に専用プライマーを塗布します。(新たに充填す
るシール材との密着性を高める為のものです)。
第4工程 「シール充填」
![○○○○○○○○イメージ](img/image29.jpg)
新しくシール材を充填します。中空部分が残らないように、溝の奥から十分に充填します。充填後はヘ
ラで押さえ表面を整えます。
6・塗料・材料の搬入
「搬入」
![○○○○○○○○イメージ](img/image31.jpg)
塗装した部位と使用した塗料・材料の記録は次の通りです。
屋根:下塗 SK化研 マイルドシーラーEPO(主剤+硬化剤)
屋根:上塗 SK化研 クールタイトSi(主剤+硬化剤) 遮熱塗料
外壁 下地 コニシ 目地充填シール材 変性シリコンシーラント
外壁:下塗 SK化研 クールテクトプライマー(主剤+硬化剤)
外壁:上塗 SK化研 クールテクトSi(主剤+硬化剤) 遮熱塗料
軒裏: DNT ビルデックグリーン
樋 : SK化研 クリーンマイルドウレタン
破風; SK化研 クリーンマイルドウレタン
金属: SK化研 クリーンマイルドウレタン
防水:下塗 関西パテ化工 セルコートシーラー
防水:上塗 関西パテ化工 セルコートS
塗料の選定にあたって
外壁塗装に使用したクールテクト及び屋根塗装に使用したクールタイトは遮熱塗料(熱を反
射させることにより、室内の温度上昇を抑制するものです)。お客様のご希望と、我々の過
去の検証データにより、お勧めしたものです。
7・外壁の塗装
外壁(サイデイング)の塗装です(遮熱塗料使用)。
第1工程 下塗「クールテクトプライマーの塗装」
![○○○○○○○○イメージ](img/image63.jpg)
クールテクトプライマーを下塗します。外壁表面と上塗の密着性を高める働きをするものです。
第2工程 上塗1回目「クールテクト塗装1回目」
![○○○○○○○○イメージ](img/image65.jpg)
プライマーの十分な乾燥の後、クールテクトを上塗します。(1回目)
第3工程 上塗2回目「クールテクト塗装2回目」
![○○○○○○○○イメージ](img/image67.jpg)
クールテクト(1回目)の十分な乾燥の後、同じくクールテクトを上塗します。(2回目)
外壁に対する塗装工程は以上で終了です。写真をご覧いただくだけでは、残念ながら技術的な面までは
お分かりいただけませんが、広い外壁面全体を、均一な塗布量でムラなく仕上げる為には、塗装専門の
技術が必要です。
8・屋根の塗装
屋根(コロニアル)の塗装です(遮熱塗料使用)。
「塗装前の状況写真」
高圧洗浄後、塗装前の状況写真です。
コロニアルの歪みも少なく、棟抑えの鉄板にもこれといった損傷も見当たりません。現状のまますぐに
塗装工程へ移れる状況でした。
第1工程 「棟抑え(鉄板)への錆止め塗装」
一部、軽度の錆の発生が見られました。ケレン及びエポキシ系錆止め材の塗装を行います。
第2工程 「クールタイトプライマー塗装1回目」
クールテクトプライマーを下塗します。屋根表面と上塗の密着性を高める働きをするものです。
第3工程 「クールタイト塗装1回目」
遮熱塗装の塗装です。規格通りに十分な厚みを確保しながら塗装します。塗料の機能を十分に発揮させ
る為には塗膜の厚みは大切です。そして、「斑なく均一に」は熟練した職人であればこその「技」です
。
第4工程「クールタイト塗装2回目」
第3工程による塗装の乾燥、硬化の状況を確認しながら、仕上塗装します。十分な塗膜の厚みを確保す
る事で、塗料の性能を確実に発揮させます。
雨戸(金属製)の塗装です。
「第1工程 ケレン清掃」
![○○○○○○○○イメージ](img/20130129083200001.jpg)
雨戸の鏡板はスチール製品であり、焼き付け塗装が施されたものでした。塗装表面ではチョーキングが
進んでおり、小さな粒状に錆が発生している事が確認されました。全体的にサンドペーパー等を用いる
ケレン清掃を施し、塗装下地を調整しました。
「第2工程 錆止め塗装」
![○○○○○○○○イメージ](img/20130129084000001.jpg)
下地との適合性とこの後に塗装するウレタン系塗料との適合性を考慮の上、エポキシ系錆止めの下塗り塗装を行いまいた。
「第3工程 上塗1回目」
錆止め塗装の十分な乾燥を確認し、上塗塗装を開始しました。
軒裏の塗装
10・軒裏(ボード面)の塗装です。
「第1工程 ビルデック塗装1回目」
![○○○○○○○○イメージ](img/image40.jpg)
ケレン清掃終了後、上塗1回目の塗装を行いました。大日本塗料のビルデックを使用しています。
ビルデックは防かび性に優れた艶消し塗料です、外部塗装に用いる為の強い耐久性を持つ塗料です。
「第2工程 軒裏ボード面のビルデック塗装2回目」
![○○○○○○○○イメージ](img/image42.jpg)
上塗1回目の十分な乾燥を確認し、上塗塗装(2回目)を塗装しました
11・破風の塗装
破風の塗装です。
「第1工程 破風のシリコン塗装1回目」
![○○○○○○○○イメージ](img/image46.jpg)
十分なケレンを確認のうえ、上塗塗装(1回目)を塗装しました。
「第2工程 破風のシリコン塗装2回目」
![○○○○○○○○イメージ](img/image48.jpg)
上塗塗装(1回目)の十分な乾燥を確認のうえ、上塗塗装(2回目)を塗装しました。
12・ベランダの防水
ベランダの防水工事です。
「工事前の状況」
![○○○○○○○○イメージ](img/image53.jpg)
高圧洗浄後のベランダ床の現状写真です。防水層を押さえるモルタルの表面にはご覧の様なクラックが
発生いていました。幸い、深さのあるクラック、幅の広いクラック等のエポキシ樹脂の注入等を要する
重度な状況にまでは進んでいない事から防水材の塗布による対応を決定致しました。使用する材料には
関西パテ化工のセルコートSを選定いたしました。予め、塗料に骨材が混入されたもので、滑り防止の
効果も含んだ塗布型防水材です。
「第1工程 ベランダ床面防水下塗り」
セルコートSのプライマーを塗布します。プライマーは上塗材と下地との密着性を高める為の塗料です。
「第2工程 ベランダ床面防水 上塗1回目」
プライマーの十分な乾燥を確認のうえ、防水材(セルコートS)を塗布します。
「第3工程 ベランダ床面防水 上塗2回目」
![○○○○○○○○イメージ](img/image57.jpg)
セルコート1回目の十分な乾燥を確認のうえ、2回目を塗布します。