建物外部の鋼製階段に対する塗装工事の工程例です。塩害地域における防錆効果を最優先に考えた工事です。
「工事開始」
外部階段及び通路の塗装工事です。建築用の鋼材は、案外に錆びやすいものです。私達が目にする錆の
中で一番多いのは赤茶色の錆です。これはFe2O3という酸化鉄であり、進行が速いものです。原因は、
水分に触れる事で起こる化学反応にあり、鉄のイオン化を原因として生成されるものです。ですから、
錆びさせないために一番大切な事は、水分に触れないように対処する事です。この為の方法として、最
も一般的なのが、塗装と言えます。特に、外部における鋼材の塗装工事では、素地との密着性が高く、
厚みがあり剥がれにくく、耐候性に優れる塗膜を作る事が重要です。水に塩分が混ざると蒸発が妨げら
れます。その事で、鉄部表面に水が接触する時間が長くなり、より錆びやすくなります。このような理
由で、塩害地域においては、特に注意が必要です。
「工事後」
全ての塗装工程を終えた後の写真です。今後、数年を掛けた経過の観察により、耐候性を含めた、総合的な
結果評価となります。
「搬入塗材等の一部」
「使用材料」
下地補修用:FRP、E-209(エポキシ樹脂)
カーボマスチック15
※塗装後の耐用年数を考える場合において、塗料の選定は非常に重要です。今回の塗装工事に使用する
塗料、塗装工程は、以下の条件を考慮した上で厳選しています。
1、塩害地域に位置する為、耐候性に優れている事。
2、外部に露出している為、水(雨)の影響が多い事
3、被塗装部分が金属である為、温度変化に伴う伸縮に対応する追従性を有する事。
4、錆が深部まで浸食している為、塗料に浸透性がある事。
「工事工程説明」
「ケレン・清掃」
サンダー等の電動工具や手工具を用い、劣化した塗膜や錆を除去します。
「下地補修・FRP使用」
深くまで進んだ錆を除去した結果、部材に欠損や穴が生じた場合の対処として、溶接、エポキシ樹脂、
FRP等を複合して下地補修します。
「下塗塗装」
塗剤にはカーボマスチック15(浸透性エポキシアルミ塗料)を使用致しました。橋梁やプラント等
の塗装にも使用される塗料であり、ケレン後に残った錆に深く浸透する、付着力が強く厚い塗膜が得ら
れる塗料です。比較的に高価な材料ですが、費用対効果としては優れています。特に建物の外部で、常
に雨や塩害に曝される鋼材には積極的に使用しております。被塗装面及び上塗材との適合性を確認した
うえ厳選しています。
「上塗・1回目」
上塗材には耐候性に優れたシリコンを使用しました。主剤、硬化剤の混合による反応効果型の塗料です
。
「上塗・2回目・3回目」
更に塗膜に厚みを付ける為に2回目、3回目を塗装しました。